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ペーパードライバー教習@マツダ「CX-5」の魅力

2012年4月19日(木)マツダ「CX-5」の魅力


マツダ「CX-5」は、同社の独自技術「スカイアクティブ・テクノロジー」を全面的に採用した、新しいスタイルのSUV。2月16日の発売開始から予想を上回る人気を集めている注目モデルだ。今回、モータージャーナリストの鈴木ケンイチ氏が、「CX-5」の特徴と走りをレポート。あわせて、開発担当者のインタビューも掲載する。

すべてが新しくなった「新生マツダの象徴」

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「CX-5は、新生マツダの象徴、私たちの将来を担う重要なクルマです。まさに社運をかけたとでもいうべき、そのCX-5の販売を今日ここ日本からスタートできることになり、大きな期待と同時に、身の引き締まるような緊張感を感じております。」



2012年2月16日の「CX-5」の発表会におけるマツダの社長兼CEOである山内孝氏の挨拶の冒頭部分だ。マツダは、歴史的円高やタイの洪水、東日本大震災などの影響により、2011年度の決算で約1,000億円の損失を発表している。山内氏の言葉からは「CX-5」にかける期待の大きさがひしひしと感じられた。



そんな「CX-5」には、マツダが次世代技術として開発してきた「スカイアクティブ・テクノロジー」がフルに投入されている。「スカイアクティブ・テクノロジー」は、これまで「デミオ」に「スカイアクティブG」、「アクセラ」にトランスミッション技術である「スカイアクティブ・ドライブ」を順次投入してきたもの。そして、今回の「CX-5」においては、エンジン、トランスミッション、車体、シャシーに「スカイアクティブ・テクノロジー」が採用された。また、新しいデザインテーマである「鼓動(こどう)」も導入されている。つまり、クルマを構成するすべてが新しくなった、文字通りの「新生」モデルというわけだ。

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2月16日に発売が開始された「CX-5」。エンジンは2リッターのガソリンエンジンモデルと2.2リッターのディーゼルエンジンの2種類。それぞれのエンジンに対して2WD(FF)と4WDを用意。ミッションはすべて6速AT。価格はガソリンモデルが205~241万円、ディーゼルが258~319万円

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「CX-5」で新たに採用されたのが「スカイアクティブ・シャシー」。「一体感」「安心感」「快適性」「軽量化」という相反する要素をバランスよく高い次元でまとめられている

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特に注目されているのは、世界最高峰の効率のよさを誇るパワートレインだ。ガソリンエンジンは、世界最高レベルの高い圧縮比を実現。ディーゼルエンジンは、世界でもっとも厳しい日本の「ポスト新長期規制」と、欧州の「ユーロ6」をクリアするエミッション性能を備えた。しかも排気ガスのクリーン化を高価な後処理なしに行うことで、ライバルよりもリーズナブルな車両価格を実現している。国内でいえば、同じクリーンディーゼルのライバルよりも50万円ほども安くなっているのだ。
さらに燃費性能もすぐれており、ガソリンエンジン車で15.6~16.0km/l(JC08モード)、ディーゼル車で18.0~18.6km/l(JC08モード)という数字は、2リッタークラスのSUVとしてはトップクラスである。
そんな「CX-5」は、発売開始から1か月の3月15日の時点で約8,000台の受注を獲得した。月間販売計画1,000台の8倍となる上々の滑り出しを見せたのだ。ちなみに、その販売の内訳は、ディーゼルが73%でガソリンが27%。圧倒的にディーゼル車の人気が先行しているのが興味深いところだ。

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圧縮比13.0のガソリンエンジン「スカイアクティブG」。最高出力は114kW(155PS)、最大トルクは196Nm(2WD)・195Nm(4WD)。燃費は、15.6km/l(JC08モード・4WD)・16.0km/l(JC08モード・2WD)

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14.0という、ディーゼルでは世界一の低圧縮を実現させた「スカイアクティブD」。最高出力は129kW(175PS)、最大トルクは420Nm。燃費は、18.0km/l(JC08モード・4WD)、18.6km/l(JC08モード・2WD)

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ただのエコ&エコロジーなクルマではない

「CX-5」の試乗を体験できたのは箱根のワインディングであった。最初に試乗したのは、2WD(FF)の「XD」グレード。2.2リッターのディーゼルターボエンジンを搭載するモデルだ。「CX-5」は悪路を走るクロスカントリーというよりも、オンロード中心のクロスオーバーというキャラクター。そのため、今回はあえて2WD中心に試乗することにした。
まず、車内に乗り込んでドライビングポジションを取ってみる。右足を置くアクセルの位置が、予想以上に右側にあった。普通のFFや4WDでは、前輪を収めるホイールハウスが車内に出っ張っており、なかなか「CX-5」のような自然なポジションが取りにくいもの。これはうれしい点である。車内のデザインは黒とシルバーが基調。SUVというよりもセダン風であり、硬派なスポーティーセダンといったところ。メーターの中は鈍く光るスピンドル加工が施されている。シフト周りのシルバーの加飾の色合いもリアル。全体として質感が高い。また、シートはホールド性の高いデザインで、良質な走りを予感させてくれる。
エンジンは、暖まっていたこともあるが、あっけないほどすぐに回り始めた。振動は非常に少なく、また、ディーゼルならではのガラガラ音はごくわずか。不快なものではない。
アクセルをわずかに踏み込んでスタートすると、最初の一歩目から力強い。アクセルをあまり深く踏み込まずに街中をゆっくりと流してみる。タコメーターの針は1500回転前後をいったりきたり。シフトショックはほとんどなく、スムーズに6速までどんどんとシフトアップしてゆく。街中では、ほとんど1500回転以下で走れてしまう。1000回転も回れば200Nmものトルクが出るディーゼルならではの力強さだ。また、アイドリングストップ機構が備わっているため、信号待ちなどではエンジンが停止する。つまり振動がまったくなくなる。「振動が大きい」というディーゼルのネガティブ面は、これにより、かなり小さくなっていた。
ワインディングにハンドルを切る。アクセルを深く踏み込んで2000回転を超えると、さらにひとまわり太いトルクを引き出すことができる。2000回転で最大トルクの420Nmを発生させる。4リッターのV8エンジンなみの力で、車両重量1510kg(※「XD」グレードの重量)を加速させるのだ。急な勾配でも、まったくパワー不足を感じさせない。また、レッドゾーンの始まる5250回転までスムーズに回るフィールは、ほとんどガソリンエンジンのよう。これはかなり気持ちいい。
ステアリングの手応えは、最初は軽くて一瞬「頼りない?」とも思えたが、スピードが高まり、コーナーがきつくなるほどにしっかりとしたものになる。この感じは、かなり独特。また、ハンドル操作に対するクルマの反応は、ここ最近のマツダが掲げる「統一感」あるもの。操作に対してナチュラルにクルマが反応するため、運転するほどにクルマが意のままに走ることに気付き、どんどんと走るのが楽しくなってゆくのだ。まさに「人馬一体」「Zoom-Zoom」という、マツダ車らしいものであった。
続いてガソリンエンジンの「20S」グレードをワインディングに持ち込んだ。
エンジンからの振動はディーゼルモデルよりも一段と小さく、快適性は高い。ただし、パンチ力では、圧倒的にディーゼルが上。今回試乗したワインディングのようなシチュエーションでは、トルクの大きいディーゼルと比べるのがかわいそうなほど。ただし、ガソリンエンジン車にもよいところはある。それは軽快感。エンジンがディーゼルよりも軽いということで、ハンドリングに対する応答が軽い。「ヒラヒラ&スムーズ」に走るというフィールだ。それほど飛ばすわけではなく、長距離も走らないというのであればガソリンモデルを選択するのもいいかもしれない。
とはいえ、燃費性能もパワー感もディーゼルモデルのほうが勝るのは事実。これはディーゼルモデルの出来がよすぎるというほうが正しいだろう。
クリーンディーゼルや効率のよいガソリンエンジンを搭載するなど、「CX-5」はエコロジーでエコノミーなクルマである。実際に燃費性能もよいし、車両価格もお値打ちものだ。しかし、「ただエコ&エコノミーであるだけで、走らないクルマは欲しくない!」というのも本音である。しかも、「Zoom-Zoom」を謳うマツダである。たとえエコ&エコロジーなクルマでも、しっかりと走りの楽しさを味わえるものであってほしいのだ。そうした面で「CX-5」は期待を裏切らないものであった。この走りの楽しさがあるからこそ、「CX-5」のエコ&エコロジーは、より魅力的に見えるのだ。

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黒を基調としたインテリア。ディーゼルの「XD」に、レザーシートを採用する「L Package」を設定している

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インストルメントパネルは上部がソフト素材で覆われている。「ロードスター」などにも採用されるピアノブラックのパネルが特徴的だ。文字盤にはスピンドル加工が施され、メーターの針もクラシックスポーツカーのような金属感を表現。見る角度によって微妙に表情を変えるメーターとなっている

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「CX-5」の魅力の根源となる「走りの味」

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試乗で確かめられた「CX-5」の走りの楽しさ。その走りのセッティングを担当したのが、マツダ車両開発本部の梅津大輔氏だ。梅津氏に「CX-5」の走りの根本となった考えを聞いてみたので、その内容を会話形式で紹介しよう。



鈴木:まずは、「CX-5」の大もとの考えを教えてください。何をもって楽しいといかスポーティーなのでしょうか?



梅津:それは何かといえば、物理現象がわかることなんですよね。初代「ロードスター」もそうでした。“タイヤってこういう風に荷重をかければ力を出すよね”みたいな難しいことを考えなくてもいいんです。工学的にどうとかじゃなくて、お客さんが感覚的にわかるということが大事だと思うんですよ。



鈴木:今回試乗して感じたのですが、ステアリングを切り込むじゃないですか。すると最初は軽いけれど、奥がけっこう重いと。あれは確信犯的にやっているんですか?



梅津:そうです。何かというと、タイヤの力を反映しているんです。タイヤの出る横力を、ちゃんとドライバーに伝える。“今、タイヤはこういう仕事をしているんだよ”ということを伝えると。これが、日本のクルマでやりがちなのは、タイヤの力が出てないのに、ステアリングの中立部分にすごいトルクを上げて、バシっとした感じにする。固まったような、しっかりした感じをよくやるんです。だけど、操舵してゆくと力が抜けるという。抜けると感じるのは操舵するのに必要なトルクがフラットだからなんです。でも、それはおかしい。タイヤのスリップアングルに対する横力の出方は、それとは異なります。本当は、それを反映しないといけないんですよ。



鈴木:それってノンパワステのクルマに近いってことですよね?



梅津:そういうことですね。縦軸が手応えで、横軸がヨーレートのグラフを作りました。これを「味のマップ」と呼んでいます。それがブランドの味を作っているんですね。「ポルシェ」は重たいでしょ。でも、全部重たいから、あまり重たいと感じにならないじゃないですか。あれなんですよ。「ポルシェ」は重たい手応えに重い応答を出している。そして「VW」はこういうライン。「メルセデス」はこのライン。「ルノー」はこれ。「BMW」を調べたら、このラインにある程度収束する。それがブランディングだと。そこはDNAで、アイデンティティーとしてあるんでしょう。そこをちゃんと把握する。



“あれがいい”“これがいい”じゃなくて、“あれはこういう味”、“これはこういう味”と言えることが大事なんですよ。



鈴木:なんとなくではなく、ちゃんとわかって作り込んでゆく。そこがブランドになると。



梅津:そう思います。じゃないと、開発が分業化してゆくなかでビシッと決まりません。マネージメントがビシッとしているドイツ的な仕事のやり方だったら違いますよ。でも、バラバラにやっていたら、そうならない。味をちゃんと理解していくと、追求してやっているということですよね。



手応えと応答のバランスを式にすると、「F=MA」になります。Aは加速度。Fは力、フォース。Mはマス、重量です。“これくらいの力で押したら、これくらい加速する”という話です。これが自然法則じゃないですか。見なくても、押したら、これってどれくらいの重さ、あるいはモーメントを持っているのかがわかりますよね。



鈴木:バランスが悪ければ、押しててもわかると。



梅津:変な味付けにしたら、そうなる。そうならないためには本質をとらえたセッティングにしないといけません。そこがソリッドなクルマは、初代「ロードスター」もそうですし、「ポルシェ」もそうですけど、やっぱりちゃんとしているんですよ。このMがブランドのアイデンティティーであるというわけです(笑)。それを軽快に作るのか、重厚に作るのかと。それを統一できている「BMW」とか「ポルシェ」は尊敬するし、僕らもそうありたいと思うんですね。



本当に微少なところから、ピシっというのが大切なんですね。高速道路を走るときなんかは、ほんの少ししかハンドルを切りませんから。微少舵。そこのトルクでいったら0.5Nmぐらいなんです。ハンドルを指でちょっと押すくらい。それくらいのところをちゃんと作り込んでいかないと、お客さんが安心して乗れない。信頼感を作れないんです。そこを真面目にやっていくことが味になっていくんだろうと。“素直すぎる”“自然すぎる”と言われることもあるんですけど、それじゃあ“それって味にならないの?”と思うんですね。

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ステアリング操作に関するグラフ。縦軸に「手応え」、横軸に発生する「横G」。これを梅津氏は「味のマップ」と呼んでいた

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スカイアクティブ・シャシーだからこそできたこと

鈴木:ハンドリングの信念がある。それに向けて作り込んでゆくのに、素材は何でもいいという部分はあるんじゃないですか? 別に新型シャシーがなくてもいいわけですよね。でも、今回、「CX-5」だからできたという部分はありますか? 「スカイアクティブ・シャシー」の存在感はどうなんですか?
梅津:大きいですよ。ポテンシャルが高いですから。キャパが大きければチューニングの幅が広がります。たとえば、タイヤの力がうまくドライバーに伝わってくるためには、各部の剛性がある程度ないといけません。どこかで逃げてしまったら、その分を別でリカバリーしなきゃならない。そうしなくてよい状況というのは、チューナーとしてすごくうれしいんですよ。
鈴木:今回は「スカイアクティブ・シャシー」の初採用ですけど、これはジオメトリーの工夫ってことですよね? ハイテクを使っているわけじゃありませんよね?
梅津:ハイテクではなく、むしろ本質に戻るというところですよね。クルマってどうあるべきか? と。僕らの考えでは、スカイアクティブは素材で勝負だ! と。タイヤに荷重をちゃんとかけて、いかに性能を発揮させるか。使い切る。本質に戻ろうよと。ですからたとえばロール。このクルマのロール角はすごく大きいです。
鈴木:えっ、そうなんですか?“フラットだなぁ”と思ったんですけど。
梅津:「CX-5」と同じ考えでセッティングした「プレマシー」もそうなんですけど、ロール角でいったら、先代と現行モデルを同じコーナーで比べたら、今のモデルのほうがだんぜん大きいんです。でも、そういう風に思わないでしょ? それはロールレートが低いんですよ。ゆっくりジワジワっと荷重をかけてゆくんです。だってタイヤってそうでしょ。いきなり荷重をガンとかけたら駄目でしょ。ジワジワとかけていくのが正しい。ロールも何が嫌って感じるかといえば、浮きロールは嫌なんだけど、沈みロールは嫌じゃない。たとえば、初代「ロードスター」なんですけど、曲がるときに対角線上が浮き沈みます。ダイアゴナルロールと呼んでいますけど、前の外側が沈むと、後ろの内側が浮く。これが大事で、インの前が浮いてはいけないんです。でも、たとえばサスペンションがガチガチで突っ張っているクルマで前の外側が突っ張っていると、インの内側が浮いて荷重が減ってしまうんです。そうさせずに、旋回外輪の前に一番過重をかけて仕事をさせないとクルマがきれいに曲がらない。それをしやすくするためのチューニングが「運転の統一感」と言ってるわけです。そのひとつにブレーキの戻し側があります。
鈴木:戻し側?
梅津:戻し側なんです。ブレーキを踏んで、ジワジワっとリターンさせる。すごいハイゲインな、ちょっと踏むとガーンとブレーキが効くクルマだったら、抜くときもスカっと抜けてしまうんです。ブレーキして、ターンインするじゃないですか。ブレーキして、せっかく前荷重にしたのに、パっと抜けちゃう。そうではなく、ブレーキは戻すのもコントロールできないといけない。それが一番大事ですよね。ハンドルを戻すのも同じです。



あとはリアのスタビリティがどれだけあるのか? というのが一番重要です。
鈴木:それは、リアの限界が低いと、それにあわせて前も限界を下げなくてはならなくなるということですか?
梅津:そうなんですよ。本質的にタイヤをうまく使えるシャシー&ボディを作ったということです。構成を作ったという言い方ですね。ステアリングシステムもそうです。



とにかく、何が大事かというと、タイヤとかトーションバーのねじりとかをドライバーが感じることです。“モノとドライバーが接するコミュニケーションの密度”をいかに深められるかだと思うんですね。
鈴木:なるほど、そこに「CX-5」のドライブの楽しさの理由が潜んでいたんですね。どうもありがとうございました。
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by unten19 | 2012-04-19 23:24 |